- 2023.02.22
- Flower works
作品 西洋掛花入れ『額』
前回は、作品 西洋掛花入れ『床の間』をご紹介しました。
今回は、2022年に『三茶花 ( さざんか )』という展覧会で公開した作品です。
前回のお話の続きになりますので、投稿をご確認下さい。
僕の考えである『西洋花は色視覚に対して有効』というもので、僕自身の特性とも噛み合っていることで
花束の制作の場を僕は多く持つようにしていたと気付きました。
僕は花が好きなので、沢山の花に出会えることが喜びです。
僕が花と言う言葉は、植物を使って考えや感情や記憶を表出させる瞬間のことです。
その瞬間というのは、人の数×シチュエーションの数だけ無限に拡がっていると僕は思っています。
僕はこれを花の機会とよんでいます。
花の現場というと仕事を彷彿とさせたりするかなと思い、もっと単純で簡単で楽で身近に感じてもらえたらと考えて
花の機会という言葉を使っています。
花をするということが、いつも自分ひとりで完結出来るならこのようなものは必要ないのですが、
花の機会がなければ花にはならないと僕は考えています。
様々な花の機会を求めて、お花を切っていくと感じることが生れました。
絵を描くように色を合わせていくと、更に細やかなグラデーションなどを求めていくと、沢山の花数が必要です。
お花は世界で唯一の特殊表現技法だと僕は考えています。
生き物を切って、それを見せることで気持ちを感じたり伝えたりを行います。
多く切らないで済むなら、その方が良いと思ってしまったのです。
購買の話になると、この花数がそのまま金額となります。
富んだ者だけが触れられる美しさのように、もしも誰かが感じるならと考えると
僕が素晴らしいと感じたお花の世界というものは、そんなに狭いものではないと話したくなります。
僕は沢山のお花作りがあることが素晴らしいと思います。
お花の世界は、みんなでお花の良いところを話しているようなイメージです。
誰かが沢山のお花で伝える話があるなら、先にしてくれてるのに同じ話を自分がする必要があるのかなと思います。
自分の言葉を探して話そうとするから、自分のお花に出会えるのだと僕は思います。
僕は、万人が使うことのできるお花というものに興味があります。
色の話に戻ると、例えば、沢山の集合体で色を見せることと距離や光は密接に関係しています。
たとえ一輪であっても、距離が近づけば近づくほど色が顕著になります。
作品 西洋掛花入れ『額』は、色の話であるという意味合いで額を使用しています。
そこに、僕の花のテーマである素朴な野草などを挿し入れることで、目立たない植物が
バラなど印象的な植物と同じであるということを伝えていきたいと考えて制作しています。
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