![三重県津市 花屋 chelban [シェルバン] 出窓から見えた景色](https://chelban.com/wp/wp-content/uploads/2026/02/スクリーンショット-2026-02-02-112248.png)
- 2026.02.02
- 生活の花
出窓から見えた景色
店の近所に、以前から気になっていた旅館があった。
僕が生まれる二十年以上前に開業された旅館らしい。家電製品が普及し始めた頃のようだ。
この旅館から歩いて数分の所に、寿司屋さんがあり、昼御飯を食べに行くことがある。
老齢の御夫婦がされているお店なのだが、情緒がある。店内には、机が二つとカウンターがあり、少しの狭小さは感じられるがそれが逆に安心感を持たせてくれている。馬のように広い場所を好む人もいれば、犬のように狭い場所を好む人もいる。僕はよく眠るので、それも犬のようだ。
老齢と書いたが、年配という言葉を使おうとして自分が既に年配であると気付いたので、老齢とした。
偕老同穴を思わせる御夫婦である。
大将は、僕のことも大将と呼ぶ。僕も大将と呼ぶし、向こうも大将と呼ぶので、何だかややこしい。
「大将、にぎりをください」
とメニューから選び、僕が注文すると、
「はい、分かりました。ところで、大将は…」
という次第である。
この寿司屋さんから歩いて数分の所に旅館があり、と何だか行ったり来たりしているのだが、昨日この旅館に泊まることになった。
独りで泊まるには、心持ちが程よい和室だ。
夜、寝る前に窓の障子に目をやると植物の影が動いていた。障子の真白く薄い紙の上を、影が撫でているようであった。
朝、起きてから、出窓で煙草を吸った。
四月一日から館内禁煙と書かれた紙が机に置かれている。
部屋に灰皿があったので、昨日、宿の主人に訊いてみると「出窓でお願いします」との事であった。
窓を開けて、網戸をスライドして、外を眺めた。
ここは三階の和室で、隣には公園が見えている。
その公園の植栽も豊かであった。
斜めに見下ろすと、藤棚が見える。一月だからかそれとも枯れているのか、つるしか見えないのだが藤棚だ。
あちらの枇杷の木には、白い花がかすかに見えている。
真下には、泰山木が伸びてきて、旅館の下屋に手をかけたような状態である。
窓からの景色が見たくて、この旅館に泊まりたかった。僕は、この出窓で煙草を吸って、この時間を過ごしたかったのだ。
欲を言えば道側の窓際が良かったのだが、十分に楽しめている。
正面には、桜の木が見えた。
枝に黄緑色がこそこそっと動いているので、何か、と思えばメジロであった。
ぽてっとして丸っこい躰と、一層丸みを見せているおでこが愛くるしい。手の中に、あのおでこがすっぽりと収まったら気持ちよさそうだなと思う。
春は、一歩ずつ近づいてきている。
勝手に季節が進んでいくのではなく、春が訪れてから「春が来た」と言うのではなく、
僕も季節といっしょに、春へと近づくように歩んでいきたい。
また、桜が咲く季節に、この部屋を訪れたいと思う。
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