三重県津市 花屋 CHELBAN [シェルバン]。花束,アレンジメントフラワー,ドライフラワー,プレゼント,プリザーブドフラワーの販売 オンラインショッピング。

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三重県津市 花屋 chelban [シェルバン] 同じ風景
  • 生活の花

同じ風景

「おはよう」

 

「おはよう」

 

「今日のオーダーは、何時からスタート?」

その日は、出勤して鞄を置いてから訊いてみた。

 

張り出してあるオーダーシートに目を配りながら、答えてくれる。

「今日はな、昼からが最初!」

「ありがとう。分かった」

僕の返事を聞きつつ、パタパタと本日のオーダーシートをさわり、また確認する。

「…あっ!、ちょっと待って十一時半があるわ」

おいー、と僕が笑いながら言うと、ごめんごめん、と恥ずかしそうに大きな声で気持ちよく笑う。

 

明朗でいて、快活な人柄。

それが、僕がいっしょに働いている、あさ美さんという人だ。

 

仕事をしていて心地良いのは、誰といっしょに働くかということだと思う。

一日の内に、多くの時間を共に過ごすので、当たり前だが誰でも良いという訳ではない。

 

僕はお店を始める前に、花をしながら別の職業に就いていたのだが、さぁ、お店を開こうと決めて、退職することになった。

勤めている時分は、休憩時間、たまに上司のSさんと煙草を吹かせて話をすることがあった。

僕が退職する日になって、いつものように休憩時間に二人で煙草を吹かせていると、Sさんが言った。

「一日の中で、誰といっしょに働くかって、重要やん。思わん?」

「そうですねぇ」

煙草の煙が、どこともなく流れていく。Sさんは僕の方をちっとも見ないで話していた。

「朝起きて出勤するときに、今日、あの人が居る日やと思うと嬉しくなったり、逆に、あの人かぁと嫌になったりするものじゃない?

一日の景色の中に、この人が居てくれるってだけで、一日がキラキラするねん」

Sさんは、やっとこっちを向いて僕に言った。

「澤さんが居てくれて、良かったよ」

そんな言葉を僕にくれた。

 

磊落と感じる女性には、今までに出会ったことはない。

豪快さよりも、闊達な様子が見受けられて、それでいて、そこからこぼれ落ちてくるような愛嬌がある人が快い。

人として芯があるのは良く、頼もしさをこちらが感じられるのも良いが、それはその人の繊細さから生まれた堅固さであるように思われる。

そんなことを考えながら様子を窺うと、花と同じようにこぼれ落ちてくる魅力に出会えることがある。

それを庭などに例えるなら、情趣に富んだ景色と呼べる。

ちょうど寒さが極まってきて、庭に山茶花の花弁がこぼれ落ちた跡が残る。

花弁がゆるやかに散り落ちる、ほんの短い時間に感じられるものがある。

 

店でお互いに作業をしている時に、ほんの少し交わす会話。

特に大事なことを話し合う訳でもないけど、お互いに大事に思える会話や時間。

くだらなくて、くだけていて、直ぐに切り替えて作業に戻るまでの短い会話。

 

あさ美さんは、一日の内にとても大きな短い時間を作り合える。

 

それが、僕がいっしょに働いている、あさ美さんという人だ。

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