![三重県津市 花屋 chelban [シェルバン] 同じ風景](https://chelban.com/wp/wp-content/uploads/2026/01/スクリーンショット-2026-01-27-105827.png)
- 2026.01.27
- 生活の花
同じ風景
「おはよう」
「おはよう」
「今日のオーダーは、何時からスタート?」
その日は、出勤して鞄を置いてから訊いてみた。
張り出してあるオーダーシートに目を配りながら、答えてくれる。
「今日はな、昼からが最初!」
「ありがとう。分かった」
僕の返事を聞きつつ、パタパタと本日のオーダーシートをさわり、また確認する。
「…あっ!、ちょっと待って十一時半があるわ」
おいー、と僕が笑いながら言うと、ごめんごめん、と恥ずかしそうに大きな声で気持ちよく笑う。
明朗でいて、快活な人柄。
それが、僕がいっしょに働いている、あさ美さんという人だ。
仕事をしていて心地良いのは、誰といっしょに働くかということだと思う。
一日の内に、多くの時間を共に過ごすので、当たり前だが誰でも良いという訳ではない。
僕はお店を始める前に、花をしながら別の職業に就いていたのだが、さぁ、お店を開こうと決めて、退職することになった。
勤めている時分は、休憩時間、たまに上司のSさんと煙草を吹かせて話をすることがあった。
僕が退職する日になって、いつものように休憩時間に二人で煙草を吹かせていると、Sさんが言った。
「一日の中で、誰といっしょに働くかって、重要やん。思わん?」
「そうですねぇ」
煙草の煙が、どこともなく流れていく。Sさんは僕の方をちっとも見ないで話していた。
「朝起きて出勤するときに、今日、あの人が居る日やと思うと嬉しくなったり、逆に、あの人かぁと嫌になったりするものじゃない?
一日の景色の中に、この人が居てくれるってだけで、一日がキラキラするねん」
Sさんは、やっとこっちを向いて僕に言った。
「澤さんが居てくれて、良かったよ」
そんな言葉を僕にくれた。
磊落と感じる女性には、今までに出会ったことはない。
豪快さよりも、闊達な様子が見受けられて、それでいて、そこからこぼれ落ちてくるような愛嬌がある人が快い。
人として芯があるのは良く、頼もしさをこちらが感じられるのも良いが、それはその人の繊細さから生まれた堅固さであるように思われる。
そんなことを考えながら様子を窺うと、花と同じようにこぼれ落ちてくる魅力に出会えることがある。
それを庭などに例えるなら、情趣に富んだ景色と呼べる。
ちょうど寒さが極まってきて、庭に山茶花の花弁がこぼれ落ちた跡が残る。
花弁がゆるやかに散り落ちる、ほんの短い時間に感じられるものがある。
店でお互いに作業をしている時に、ほんの少し交わす会話。
特に大事なことを話し合う訳でもないけど、お互いに大事に思える会話や時間。
くだらなくて、くだけていて、直ぐに切り替えて作業に戻るまでの短い会話。
あさ美さんは、一日の内にとても大きな短い時間を作り合える。
それが、僕がいっしょに働いている、あさ美さんという人だ。
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